先生のお仕事  1

最近自分の生徒のレッスンや、友達のレッスンの様子を見たり聞いたり、コンクールの審査を聴いて思ったこと。

指導者に必要なものってどんなことだろう?という事。

生徒の不得手な所を補いながら、長所を最大限に伸ばす事…

具体的にどのようにすれば良いのか?

まずは生徒の性格、長所短所をできるだけ早く見抜く事。そして褒めて伸びる生徒かお尻を叩いて(実際には叩かないけど)伸びる生徒かを判断する。

どちらにしても、生徒には”ここがあなたの一番良いところよー”と言い続けて自信をつけてもらう。自分の長所をアピールするって日本の習慣にはないけれど、アメリカに留学して一番感動したのはそこ!お世辞にも上手くない演奏だけれど、この人の演奏好きだなあと思う演奏をアメリカで幾つか聴いた。では、どうして好きなんだろうと考えると、その人達に共通するのは、自分の長所を最大限にアピールできているという事。言葉を変えれば、オリジナルなのですよ。自分の良いところを知っているって大事だなあと心底思った。そういう演奏は完璧ではなくても、心に残ります。

生徒も自分の長所を言ってもらえると、魔法がかかったように前向きになる。やる気がでる。一昔前の”間違えてはいけません”教育は個人的に好きではない。間違わない演奏なら、コンピューター音楽がある。生身の人間が間違えない筈がない。間違えないに越した事はないけれど、それに固執しすぎて自分が無くなってしまったら音楽をやっている意味が無い。 

 尊敬する潮田益子先生とボストンのレッスン室で…
オリジナリティーを見出して、そこを伸ばしていくという所は指導者として大切な事の一つですね。

また次回この続きを書きます!

言葉で伝えるという事

最近つくづく思う事。

言葉で自分の気持ちを伝えるって本当に難しいなあって思うんですよ。

言葉にしようとすると自分が思ってる事からどんどん遠ざかってしまう感じがして、結局相手との会話を断念してしまう事とか無いですか?私はたまにあります。笑

その点、ヴァイオリンのレッスンは良いんですよ。言葉を尽くして生徒に伝わらない時は、ヴァイオリンを生徒の前で弾いてあげるんです。弾いてるうちに”先生、こんな感じですか?”って生徒さんも一生懸命私の言いたい事を分かろうとしてくれるから。そういう生徒との対話は好きですね。

しかし、日常生活の中で言葉に詰まった時にいつもヴァイオリンを弾く訳にはいかない。気持ちをその場で的確に伝える事ができないと、自分の中でどうしようって焦ってしまうんですよ。

最近、とても尊敬している方が日本へ帰国されると言うお話を聞き、お帰りになられる前に何とかこの感謝の気持ちをお伝えしようとするのですが、出てくる言葉って、在り来たりで、お世話になりました。みたいなつまんない事しか出てこないのですよ。本当に情けなくなりました。心の中の感謝の意はそんなにつまらない物では無いはずなのになあと悔しい思いになりました。こんな思いを綺麗な言葉で伝えられる!と自信のある方、是非ご伝授下さい。


これは私の愛犬 健太です。

このブログ書いてたらこんな顔して遊ぼうか?って隣に座って会話しようとするんです。

健太は話せないけど、私よりも気持ち伝えるの上手だなあと感心してしまった。

表情と言うのも大事なのかもしれませんね。
ブログを書きながら気持ちの伝え方勉強します!

コンクールでのアプローチ Hong Kong International Violin Competition

   

 

一昨日、昨日と2日間、Hong Kong Internationl Violin Competition とHong Kong Internatinal Chamber Competition に審査員として参加した。

小さい頃から何度か経験したこのコンクールというイベント。幼い頃は、正直コンクールが嫌でしかたなかった。人前で弾くのが怖くて、コンクール直前になると熱を出したり、病気になったりするほど。(笑)。ほぼ私にとっては拷問以外の何物でもなかった。

今回は逆の審査員という立場での参加。

以前、私もコンクールで色々な経験をしてるので、審査員席から第三者として聴いていろんな勉強をさせてもらいました。

これは今後コンクールを受ける皆さんの参考になればいいなと思ってます。

2日間でおよそ100名ほどの演奏を聴いた。

当たり前だけど、こんなに沢山いると全員の演奏を覚えてる事はできません。だから弾いてる間にメモをとるのです。あ!この子の演奏いいなあ、好きだなあと思う演奏の時は自然に次回はこの部分をこうしたらもっと良くなるとか将来の事をコメントしている事に自分でも気づきました。

これはオーケストラのオーディションでも同じ事、ファイナルとかに残ると、審査員がこのプレーヤーに入団して欲しいと思ったプレーヤーには、ここをもっとこうやって弾いてみてとか、その場でオーダーを出します。

逆にその他100名の大勢の中に埋もれてしまう演奏だと、音程の注意とかリズムの注意とか書き込んでますね。。

あ!この演奏好きと思った子達の演奏に共通するのは、曲全体の構成を把握していて、一つのストーリーを作り上げられているところ。スムーズな序奏から入り、クライマックスに向けて気持ちを高めていき、その後クールダウンして静かに終わる、という風に(曲によってアプローチ方は変わってきますが)バランスのとれた演奏ができているという所です。

’’知子さん、つまらない演奏をするから、音程とかを指摘されるのよ。

演奏が興味のあるものだったら音程を指摘される事は無いのよ!’’

と私の尊敬する師匠、故潮田益子先生はおっしゃっておられました。今回このコンクールを聴きながら本当にそうだなと納得した。

演奏が面白いとは? 曲に一つの物語がある。曲に流れがあり、方向性がある。その流れにブレが無い。という事でしょうか。

演奏するストーリーに説得力があれば、少々の音をミスしても聴いてる方はあまり気になら無いのですよ。

演奏中にミスしてその曲の流れを中断するからそのミスが目立つのです。だから曲の流れを少々のミスで止める事ほどもったい無い事は無いですね。

中にはテクニックに捕らわれすぎて、曲全体の把握をして無いために、聴いていて、この人は一体何を弾いてるのだろうか???と思った演奏もありました。

コンクールとかに出てしまうと、それ自体が大変なので、根本にあるどうしてあなたは音楽やってるの?という所を見失う所があります。テクニックが大事ではなく、音楽が大事なんです。

だから難しくて弾け無い所があっても、それだけに固執せず(もちろん克服するための練習はしつつ)、物語を作る事に集中して欲しいと思ったし、自分でも改めてそうしようと思った。

自分がその曲に興味を持たなければ、聴いてる人たちは共感できません。

今回のコンクールで一番強く思った事をまず書きました。

しばらくこの事についてブログで書こうと思ってます。

コンクールで頑張った演奏者の皆さん、お疲れさまでした!!

いろいろと書きましたが、ステージに立ったそれだけで、私はあなたたちは勝者だと思ってます。これからもいい音楽を創っていってくださいね。

応援してます。

 

 

 

気持ちを伝える 〜バレンタインデー〜

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昨日はバレンタインデーだった。

仲良い4人、イタリアンレストランで食事をしました。

仲良し同士でいろんな事を話していたら、嬉しそうにブーケを抱えた女性が彼らしき男性と隣の席に座った。微笑ましい光景でした。

香港では日本とは違って男性が女性に花束を贈る日らしい。聞くところによると、花代はその日3倍に跳ね上がるという。

もっと驚いたのは、その花を働いてるオフィスに送ってもらうのが 定番らしい。

花を贈られて嬉しくなるのは私も一緒だけれど、その話を聞いてビックリした。

え?

大事なのはお互いの気持ちなのでは?

きっと私には計り知れ無い何かがそこには有るのでしょう。

時代は常時変化してるのですねー。

なかなか気持ちを伝える事が出来無い人たちのために、こういうイベントがあるのは個人的には

反対ではありません。

私だったらどの様に気持ちを伝えられたいのか?と考えてしまいました。

お花は好きだからもらったら嬉しいけれど、もっと嬉しいものって何なんだろう?

やはり、その人の気持ちが込められたものがいいなあ。

例えば、手書きのメッセージはいいと思う。メールでは無くてね。本人目の前に気持ち伝えるのは大変だからワンクッション置いた手書きの手紙やショートメッセージ。

まあ、私の場合周りが音樂してる人ばかりだから、私の好きな曲を弾いてくれたり、歌ってくれたり、

作曲してくれたら嬉しいなと思うのだけれど。

言葉で気持ちを伝えるのは難しいけど、音楽って気持ち込めやすいから。(この前もこの事書いたなあ)

知り合いが、’’カラオケは一生懸命歌うもの’’と言いきっていたのを思い出した。一生懸命大事な人の前でカラオケ歌うっていうのもいいのではと思う。

何かしら、その人が心を込めて使った時間っていうのが贅沢な贈り物なのではないでしょうか?

一生懸命働いたお金で、高価なものを贈ってもいいのでしょうが、やはり好きな人が作ったものを受け取る方が私は嬉しいです。

つくづく音楽という気持ちを伝える手段が他にあって良かったと思いました。

Aちゃんとのこと

ちょっとだけ熊本に帰省しました。お天気良いし、空気も良いし、水道水は世界一!帰るたびに良いところだなあと思う。

去年の夏に帰省した際に高校時代の同級生から娘がバイオリンを習いたいと言うので、先生を紹介してと頼まれた。ブログでも書いてるように、初めての先生はとっても大事。だから私が子供の頃にお世話になった私の先生を迷わず紹介した。

娘のAちゃんがバイオリンを習い始めて数ヶ月。Aちゃんの母にバイオリンを弾くことはどちらかというと好きなんだけど、練習を毎日続けるのが大変。どうしたらやる気が出るのだろう?と真面目に質問された。

“そりゃそうだよね〜。私も小さい頃練習するのが大っ嫌いだったもん。” って言ったら親子共にビックリされた。

小さい頃はコタツの電気の所に体温計をくっつけて熱があるフリしたり、バイオリンの弦をハサミで切ろうとして失敗したり、考えられることは全て試した。(笑)

バイオリンは右手と左手が別の運動しなきゃいけないし、出した音はお世辞にも綺麗では無い。どちらかと言えば不快音。右手はこうで、左手はこうで、あー!!忙しくて楽譜読めない〜ってパニックになる。

取っ付きが他の楽器に比べて難しい。だから練習が苦痛。バイオリンを弾いて楽しめるようになるにはすこーし時間がかかる。だからAちゃんの気持ちは手に取るようにわかる。

Aちゃんに続けて話をした。

“バイオリンの練習は大変だったけど、それをもうちょっと頑張ると、子供オーケストラに入れるよ。そこで色んな楽器を演奏するお友達と会えるんだよ。そこでみんなと一緒に一つの音楽を作っていくのね。その練習の過程もコンサートも同じ年くらいの子供達と一緒だから楽しいのよ。色んな事を相談し合えるし、情報交換も出来るからね。演奏本番で、みんなが一つになる瞬間っていうのがたまに有るんだけど、その瞬間はなんとも言えない感動があるよ。またそれを後からみんなでお話するのが最高!

それでさらに頑張ると海外のコンサート遠征とかに参加出来て、いろんな国のお友達とまた音楽が一緒に作れるんだよ。一緒に音楽を作るとね、お友達度がさらに増すのよ。世界に色んなお友達が出来て、色んな事を学べるって素敵じゃ無い?”

正直、Aちゃんがちゃんとお話聞いてくれて嬉しかった。

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これは私が体験した本当のお話。

こうやって学んだ事を一人でも多くの人に広げていきたいと思って始めたブログ。改めて私も頑張ろうと思った。

こうやってお話をしたり、教えたりしていると、私も何かをその人達から教えられる。Aちゃんと友達に感謝!!

皆さん、どんな質問でも構いません。何か聞きたいことが有りましたら、ブログで質問してくださいね〜。

Aちゃん、頑張れー。

大人のレッスンの臨み方

今日は大人の練習について。

大人は子供と違ってレッスンに対して違った臨み方が必要になる場合があります。子供は大人とくらべて身体だけでなく心も柔軟であることは否定しがたい事実。だからこそ大人は楽器の習得をためらいがち。しかし子供の楽器の上達のスピードが速いのは恥ずかしがらずに素直に何でも聞くことができる態度にあります。逆にいえば大人も子供と同じようにレッスンに臨めば上達のスピードが速くなること請け合いです。

では具体的にどのようなことに気をつければいいのか。

間違いを指摘されることへの抵抗感をなくす

大人になると人に注意されることはぐっと少なくなりますね。’もう大人なんだから’という言葉には大人は物事をきちんとやって当然というニュアンスがあります。大人の方のレッスンの最大の障害はこの’大人なんだから’を楽器のレッスンにまで広げてしまうことです。

すなわち”間違ってはいけない(大人なんだから)”、”馬鹿にされたくない(大人なんだから)”と思ってしまうことです。これが上達のスピードを下げます。バイオリンに限らず楽器の練習では間違いをどれだけ修正できるかが、に時間のほとんどをさくわけです。間違う、先生に指摘される、修正する、正しい弾き方を覚え少し上達する、そしてまた間違うというサイクルを繰り返して上達していくので、最初に間違わないと上達のサイクルの最初の一歩が踏み出せません。

間違いを早く発見し、それを修正していくか。そのためには間違いを認める勇気、恥ずかしさを怖らがない勇気が必要です。大人になれば誰でも’自分は間違えている’と認めるのは困難なものですが、その心のハードルを超えてしまえば思った音を出せるようになるまでそう時間はかからないでしょう。

先生は生徒を馬鹿にしない、と信じる

間違いを早く認識することが上達に不可欠であるなら、間違いを指摘する教師側にも力量が求められます。特にバイオリンなど絃楽器はピアノなどと違って音が出せるようになるまでにけっこうな時間がかかります。レッスンを始めた頃は自分で聞くのもいやになるような音がでるでしょう。先生が弾く音とはあまりにも違いすぎて、同じ楽器を手にしているとは思えないかもしません。

しかし、その上手な音を聞かせている先生も生徒と同じような時期があったわけです。生まれつきバイオリンの音を綺麗に出せる人はいませんから。忙しい時間を割いて練習をしてきた生徒に対して先生は、尊敬の念は抱いてもバカにしたりは絶対にしません。むしろそんな先生がいたらそれはあなたの上達を阻害する先生ですから即座にレッスンをおやめになって新しい先生を探してください。疑問があれば先生に何でも聞きましょう。むしろ先生は生徒からの真剣な質問を心待ちにしているものです。

間違うことを怖らがない、間違いを指摘されることを恥ずかしがらない。これが大人のレッスンで一番大切なことです。それができるなら、大人は頭を使って練習方法を工夫したりできるので子供よりも上達のスピードが速くなることもあるのです。素直な子供の心でレッスンに臨み、どんどん上手になりましょう。

オペラ歌手

今ワーグナーのオペラ、ワルキューレの公演中なので、今日もやっぱり歌に関わるお話。

私は大学の時にヴァイオリン専攻だったのに、大学内で楽器を持って歩いてても、良く声楽家の人と間違えられた。それもソプラノ。今でもオペラシンガーの友達とお話すると、

’’ソプラノキャラ’’

とか言われてしまう。人によっては、良く笑うからとか言われるけど、どうしてそう見られるのかは、自分でも???

大学の時に声楽の授業を週一で取らなければいけなかった。最初は面倒だなーと思いながらレッスンに足を運んだ。が、ハマってしまった!というのはまさにこの事。

歌ってて、気持ちがいい。

その時、会社疲れのおじ様達がカラオケに行く気分が良くわかった。日本では思った事をそのまま言葉にするといつの間にか孤立してしまうくらいヒンシュクを買う。言いたい事も言えず、毎日の日課をこなすのも至難の技。

その時に出会ったのが、歌。

歌の中の役に成りきって、普通では言えない様な恥ずかしい事を、感情を込めて思いっきり歌う。体全体で呼吸して心を込めて歌うという事がどんなに私の人生の中で大切だった事か!

真剣にヴァイオリンと声楽のダブルメジャーで行きたいとまで考えた。でも、バイオリンを弾いてる時だって、やはり同じように歌っているから、あまり変わらない。この歌のレッスンがとてもわたしの音楽を深いものにしてくれた事は間違いない。

いま、日本や、韓国のドラマが大人気の時代。当時はテレビもブルーレイも何もない。昔の人たちにとってオペラが今の映画やドラマだったと思うと、オペラがより身近に感じられる。でもストーリーの濃さは今のドラマの10倍以上。今のお茶漬けサラサラな軽いストーリーでは無い。

こういう気持ちを歌に込めると自分の人生も10倍は楽しくなる。

皆さんも歌始めてみませんか?

明けましておめでとうございます。

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大変遅くなりましたが明けましておめでとうございます。

今年もいろんなブログが書ける様に頑張りますので、応援の方よろしくお願い致します。

今年は年明け早々ワーグナーのオペラ、リングサイクル’’ワルキューレ’’のリハーサルが始まり、充実したスタートでした。

このワルキューレ、第一幕65分、第二幕99分、第三幕72分という超大作です。

こんな長いオペラを一体どうやって弾くのだろうと内心ドキドキしています。

体力も集中力もいつものコンサートの少なくとも2倍は必要と成ります。

ちゃんとオペラの内容がわかってないと弾けないので、今お勉強中です。また息切れしたり、

病気になったりしないように、ピークに登る様に心がけています。

上の写真は、1月1日にHigh Westに登った時に撮ったものです。

ジムとか、ヨガとか水泳とか色々試しましたが、ハイキングが一番私には合ってる様です。

季節によって咲いてる花も違うし、空気もきれい。オーケストラの大音量を何時間も聴き続けた時には、静かなピークに音楽聴かずにに登って、雑念や雑音を洗い流すようにしています。

登っている途中で名案が浮かぶ事も多々あり、この時間はとっても大切です。

話を戻し、ワーグナーのワルキューレ、今週はいよいよシンガーさん達とのリハーサルが始まり、また楽しくなってきます。

このワルキューレは、1月21日(木)18時〜と1月23日(土)15時開演との2回公演です。

チケットは非常に残り少なくなっていますが、ご興味のある方、是非お越しくださいね。

 

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